弁償?仕事中に会社の備品を壊したときの基礎知識

弁償?仕事中に会社の備品を壊したときの基礎知識

仕事中に会社の備品を落としたり壊した場合、弁償させられないか不安ですよね。

仕事中の不注意で備品を破損してしまうことはありえるため、損害賠償を求められたら困ります。

しかし、従業員に弁償させることは法律違反です。そのため、基本的には弁償する必要はありません。

なぜ弁償しなくても良いのでしょうか。その理由と破損させないために気をつけることについて解説します。

会社の備品を壊しても弁償しなくて良い

従業員のミスで会社の備品(車や家具、商品など)を壊しても、従業員に弁償させることはできません。

どうして弁償しなくても良いのでしょうか?その理由を見ていきましょう。

労働基準法で禁止されている

「会社の備品を破損させた時は従業員が弁償する」と会社のルールで決まっていたとしてもそれは労働基準法違反です。

労働基準法第16条では、従業員のミスに対してあらかじめ損害賠償を支払うよう決めておくことが禁止されています。

そのため、会社のルール自体が法律に違反しているのです。

「修理代を給料から天引きする」というルールも労働基準法違反にあたります。

また、労働基準法第24条では、賃金は控除される金額以外、その全額を労働者に支払わなければいけないと決まっています。

ですので、弁償金や修理代を給料から天引きすることは禁止されているのです。

責任は会社側にもある

仕事中に起きたミスは、従業員への注意喚起が足りなかったという会社側の責任もあります。

従業員がわざと破損させた時は、損害賠償を求めることができるのですが、それでも裁判で争えば会社側の責任も問われます。

例えば次のようなことを指導していたのか問われることになるでしょう。

  • 取扱いに注意が必要なものの管理方法について、マニュアルやチェックリストがあり、定期的に指導や教育をしていたか
  • 過去の同様のミスに対し、口頭や書面での注意、始末書の提出を実施してきたか
  • 注意喚起とその周知が徹底されていたか

これらを徹底したとしても、ミスは起きるものです。

故意の過失でない限り、全額を従業員が弁償させられるということはまずありません。

会社が商品に保険をかけている

家具や車など、高級品を扱う会社であれば、あらかじめ商品に対して保険をかけていることがほとんどです。

保険をかけていれば保険会社からお金がおりてくるため、従業員が破損させてしまったとしても、支払わせることはありません。

ただし、保険をかけているからといって粗末に扱って良いわけではありません。

あまりにも何度も会社の備品を壊していると、社内の信用を得られなくなります。重要な仕事も任せてもらえなくなるでしょう。

高級品や精密機器を扱う時は、慎重に作業しましょう。

労働基準監督署に相談する

もし、弁償しろと言われたり、給料から天引きされた時は、全国の労働局や労働基準監督署にある「総合労働相談コーナー」に相談しましょう。

専門の相談員による面談あるいは電話相談を無料で行うことができます。

また、労働基準監督署が閉まっている夜間や休日の場合は「労働条件相談ほっとライン」で電話相談を受け付けています。

一人で悩まず、専門家に相談して意見をもらうことが大切です。

破損させないために気をつけること

会社の備品を破損させたとしても基本的に弁償する必要はありません。

しかし、商品を壊したり、故意に破損させた時は損害賠償を請求されることがあります。

そのようなことにならないためにも、会社の備品を扱う時は慎重に行動しましょう。

仕事で重い物を持った時に同僚とぶつかって破損してしまうことも多いです。

物が壊れるだけでなく、ぶつかった拍子に怪我させてしまうかもしれません。

重い物や鋭利な物を持つ時は、周囲に注意を払って行動してください。

段差や階段でつまずいて、その拍子に落としてしまうこともあります。移動する時は足元に気をつけましょう。

忙しいと焦って行動しがちになります。会社の備品を扱う時は、丁寧に扱うように心がけてください。

まとめ

仕事中に会社の備品を破損した時でも弁償金を支払わなくていい理由と、破損しないために気をつけることを紹介しました。

弁償金を支払うという取り決めや、弁償金を給料から差っ引くというのは労働基準法で禁止されています。

物が壊れたのは従業員の不注意だけでなく、注意喚起が十分にできていなかった会社側の責任でもあるからです。

もし、トラブルになった時は労働基準監督署に相談するようにしましょう。

何度も破損させてしまうと損害賠償を請求されることもありますし、そうでなくても会社で働きづらくなってしまいます。

そのような大事にならないためにも、会社の備品を扱う時は十分注意してください。